2018.01.07

患者さんと長く向き合うということ

「私達は、予防型歯科医院として、

患者さんと生涯にわたり真摯に向き合い健康をサポートします。」

 

このことは、地域医療を担う歯科医院にとって、

ごく当たり前のことのように聞こえますが、

これを真面目に行うには、

日々積み重なるプレッシャーと不安に耐え続ける

かなりの覚悟がいることだと思います。

 

予防型歯科医院として 、

歯科医療者と患者さんとの良好な関係を築くことができるほど、

より多くの患者さんと長くお付き合いしていくことになります。

 

一時的の関係ならば、熱意さえあればそんなに難しいことはありませんが、

長く向き合っていく場合には、いずれ熱意だけではやっていけないときが訪れます。

 

良い事やうまくいく事ばかりではなく、

悪いことやうまくいかない場合もあるかもしれません。

最初の熱意が維持できない場合もあるかもしれません。

 

例えば、

治療した部位がまた悪くなってしまったり、

診断や治療の結果が予期しないものになってしまったり、

症状の原因や解決方法がわからないままであったり。

 

私達が 行う歯科医療が、

絶対的に正しいことが分かり、常に確実なものであれば良いのですが、

実際には、絶対的に正しいことが分からなかったり、不確実なものであったりするので、

そのような状況で、様々な症状でお悩みの患者さんと出会い、

長く向き合う患者さんが増えていくと、

真面目な歯科医療者ほど、

貢献できるやりがいや喜びが増える反面、

プレッシャーや不安感が広がっていく可能性があります。

 

日々積み重なるこのようなプレッシャーや不安を軽減させていくために、

まず当然のことですが、

歯科医療の真実を追い求める努力、

自分達の提供する歯科医療の確実性を上げる努力は必死で続けなければなりません。

自分達の実力不足や努力不足による問題は出来る限り避けなければならないからです。

 

しかしそれと同時に行うと良い事が3つあります。

 

1つ目とは、自分達のできることできないこと、わかっていることわかっていないことの境界を知っておくこと。

2つ目は、自分達の行う歯科医療の不確実性について考えておくこと。そしてそれを必要な場合には患者さんとも共有すること。

3つ目は、その時点での真実を明らかにし、適切な状況下でそれを偏りなく患者さんに伝えておくこと。

 

患者さんと長く真摯に向き合っていくということは、

等身大の自分達が、正確な情報を持ち、

偏ることなく本心で患者さんと向き合っていくということなのだと思います。

そうでなければ、日々積み重なるプレッシャーや不安にいつか飲み込まれてしまうのではないでしょうか。

 

2018.01.05

関係自体が治療の一部となる治療的関係

昨年、非常に興味深い研究結果を発表されました。

それは、

慢性腰痛患者に対してプラセボ薬と伝えてプラセボ薬を渡しても、

服用した患者は腰痛が軽減する傾向にあるというもの。

 

その理由としては、

医療者と患者との良好な関係性が成立していると、

医療者が患者に何かを行ったという行為自体が儀式となって、

患者の症状改善に関わる脳部位が活動するのではないかという考察が成されていました。

 

私は、このような医療者と患者さんとの関係性がまさしく治療的関係であると感じました。

 

医療者と患者さんとの関係性を考える場合の一つの重要な要素として、

この治療的関係がありますが、

私達がここで言う治療的関係とは、

プラセボ効果に代表されるような

治療の一部となりうる医療者と患者さんとの関係のことを指しています。

 

治療的関係の根幹は、信頼関係だと言われていますが、

この信頼関係にも、区別が必要です。

一つは、盲目的信仰に基づく信頼であり、

もう一つは、構築される信頼です。

 

例えば前者は、名医と言われるような先生に診てもらうと、

同じ治療がなされたとしても、その効果はより高くあらわれるような場合です。

患者さんが最初から疑いも無くその先生を信じているという状況といえるでしょうか。

 

一方後者は、コミュニケーションにより徐々に積み重ねられるものというイメージでしょうか。

プラセボ効果を引き出すためには、以前まで盲目的信仰による信頼が不可欠と思われていました。

しかし今では盲目的信仰なしでもプラセボ効果を引き出せることが分かってきました。

 

つまり、患者さんとの適切なコミュニケーションにより、徐々に関係性を深めることで、

プラセボ効果に代表される治療の一部となりうる治療的関係を構築できるということです。

 

どれが正しいというわけではなく、個々の医療者によって、治療的関係の築き方は異なると思います。

 

重要なことは、

自分に合った治療的関係の築き方を知っておくことだと思います。

 

歯科医療者として、

等身大の自分で行うことのできる治療的関係の築き方が分かったとき、

自分が行う各歯科治療の全体的なレベルアップに繋がっていくことを実感するのです。

2018.01.04

歯科医療者–患者関係で重要な3つのこと

以前、治療が成功するかどうかを決めるのは、

歯科医師(医療者)と患者さんとの関係であると書きました。

 

当たり前のことですが、

このことは、とても奥が深く、

歯科医療者と患者さんとの関係について考え続けることは、

自分のライフワークにもなると思っています。

 

これまで、医療者と患者さんとの関係は、

・治療についての盲目的信頼、

・不確実性の否定

・不快な真実の隠蔽

に基づくものだと考えられていました。

 

治療に関わる複雑なプロセスに患者さんを巻き込むよりも、何も知らせないことの方が効率的であり、

そして患者さんは、医療者の言う事や行うことを疑わずに、不確実なことがあるなんて考えない方が、治療の有効性も増すと考えられていました。

不快な真実についても、知らない方が患者の不安やストレスも少なくて良いのではないかと思われていたのだと思います。

確かに今日でも、病気の種類や治療内容、医療者や患者さんの個性などによって、上記の3つに基づく方が最善の場合もあるかもしれません。

 

ただ最近は、医療者と患者さんとの関係は、

・治療的関係

・不確実性の共有

・理想的な状況下での真実告知

に基づく必要があると考えられるようになってきました。

 

これらの3つについて、また別の機会に詳しく書きたいと思っていますが、

医療を実践するにあたって、医療者と患者さんとの関係は依然として基本をなすものだと思います。

歯科医療の中でも、特に不確実性の高い問題を取り扱う場合には、よりその重要性を実感します。

 

医療者と患者さんとの良好な関係構築は、上記の3つに基づいており、

この3つのことはいかに高度な現代技術でもどんなAIでも置き換えることはできない重要なことだと言われています。

今後も、医療の中で患者さんとの関係構築の技術は、ますます重要性を増してくると確信しています。

 

特に歯科医療者は、

目に見える問題や技術を取り扱うことに偏る環境に置かれています。

歯科医療者と患者さんとの関係性や内科的な問題など、

目に見えにくい部分の問題や治療効果について、

より意識的に捉えることは、私達が、来院してくれた患者さんにとって特別な存在となるために、大切なことだと考えています。

 

2018.01.02

振り返ることの重要性

あけましておめでとうございます。

 

昨年は、自身の中で大きな転機となる1年になりました。

 

昨年の1年を振り返ってみると、これからの仕事に対する自身の気持ちが整理でき、

今年からどのように行動すれば良いかが見えてくるような気がします。

 

自分自身の中で、

良かったこと、

悪かったこと、

変化したこと、

変化しなかったこと、

できたこと、

できなかったことなど、

振り返ると様々なことがでてきますが、

重要なことは、

自身や周りを振り返り、反省し、

そして今年の行動にいかすことだと思います。

 

中垣歯科医院に勤務して、もうすぐ7年になりますが、

本当に年々、時間が経つのが早く感じます。

日々を漠然と過ごすと、

成長しないままあっという間に1年が終わってしまいます。

漠然と時間を過ごさないために、

振り返る作業は、とても重要だと感じています。

 

振り返ってみると、数年前の自分と今の自分は、かなり変化していることに気付きます。

それと同時に自分の周囲も変化しています。

自分と周囲が少しずつ変化し、微調整されながら今が創り上がってきたような気がします。

 

そしてその微調整は、徐々に意識的に行うことができるようになってきました。

自分や関わる周囲の人達が良い方向に、

これからもその微調整を繰り返すことになるのだと思います。

 

これまで診療日記の更新は、自分の中でできていないことの一つです。

 

ただこの診療日記を更新することは、

自身や周囲を振り返る良いきっかけであること、

さらにそこで思考を深め言語化することで、

とても良い気づきや成長の場となることを再認識しました。

 

記載する内容は誇張せず、

そして、

自分を大きくみせることも、

卑下することもなく、

等身大の自分として、

この診療日記を書いていきたいと思います。

 

それでは、今年も宜しくお願い申し上げます。

 

2017.02.02

病気にならないための歯科医療

病気になったら病院にいく。

病院では、病気を治療する。

それが今までの医療の常識でした。

 

従って、日本の医療の中心である保険診療は、

病気で困った人を皆で助け合う仕組みになっています。

 

つまり、病気でなければ(病名がついていなければ)、基本的に保険診療は適応されません。

 

歯科医療においても、

これまで、虫歯や歯周病などの病気に対して、治療する場合に保険が適応されました。

しかし、昨年の保険診療の改正では、一部予防に関することに保険適応が認められました。

 

これは、歯科疾患を予防することが、

生活習慣病を始めとする様々な病気の予防につながり、

医療費全体としては、抑制されることが期待されているからです。

 

これから求められているのは、

病気になってから治療するという医療ではなく、

病気にさせないための医療だと言えます。

 

その一つとして、私は歯科医院での未病ケアが必要だと考えています。

 

健康な方がいきなり病気になるわけではなく、

その前に未病という段階があります。

 

未病とは、まだ病気でないけれど、放置すると病気になってしまうと予測される状態を言います。

 

この未病の段階を察知し、病気にさせないで健康に戻す取り組みをしていく必要があります。

 

当院には、昨年、約1600人程の方が、予防処置(メインテナンス)のために定期的に来院されました。

 

歯科医院なので、虫歯や歯周病などの口腔疾患を考えることはもちろんですが、

私達は、この方達を生活習慣病を始めとする重大な病気にさせないようにしていかなければなりません。

  

病気にならないために、

健康を維持増進するために、

歯科医院を利用してもらう。

 

そのためにも歯科医院で未病をケアできること。

 

これからの予防歯科医療には欠かせない重要なことだと思います。

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