歯の根(神経)の治療

歯の寿命を左右する

歯の根の治療

歯の根の治療を丁寧に行っているかどうかは、その歯科医院の信頼性を図ることのできる一つの要素と言っても過言ではありません。

歯の根の治療は歯の寿命を左右します。
信頼できる歯科医院では、必ず歯の根の治療について、丁寧な説明や治療が行われています。

当院の根管治療

根管内の無菌化を目指す

当院では、保険診療内~自費診療まで、それぞれのレベルで最善を尽くして根管治療を行います。

1.従来法による根管治療(保険診療)

多くの歯科医院で行われる一般的な方法です。
ただ日本の根管治療の治療費は欧米諸国はもちろん近隣のアジア諸国と比べても、圧倒的に安いために理想的な器具の使用や、時間をかけた治療が不可能と言われています。

時間をかけてしっかり治療しようとすればするほど赤字に陥ってしまうという矛盾したシステムになっているため、日本の根管治療の成功率は低いと言われています。

そのような現実があり、時間的にも使用機材にも制限はありますが、当院ではできる限り時間をかけ丁寧な根管治療を行っています。
自費診療よりも成功率は下がりますが、成功すれば治療費も安く済むというメリットがあります。

2.各種細菌除去方法を駆使した精密根管治療(自費診療)

保険診療よりも、使用可能器材の幅が広く、時間的制約も少ないため、より精度の高い治療が可能となります。
保険診療で使用できる一般的な消毒剤に加え、オゾンガス、ナノバブルオゾン水、次亜塩素酸水などの殺菌水、レーザー、抗菌薬使用などにより、効率的に根管内の細菌を減少させることができます。

また、当院ではできるだけ身体に有害な薬剤や消毒剤は使用しないように心がけています。
保険診療よりも費用がかかるというデメリットはありますが、成功率は高く、通院回数も少なく済む事が多いというメリットがあります。

効率的な根管内細菌の減少
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3.根管内嫌気培養検査により確認する精密根管治療(自費診療)

根管治療の目的は、根管内の細菌をできるだけ減らす事ですので、根管内の細菌を採取し、細菌がいるのか、あるいはどのような細菌なのかを調べることが効果的です。

根管内と同じ嫌気状態(酸素の無い状態)で採取した細菌を培養し細菌の有無を調べます。
また、細菌培養することで、抗菌薬感受性試験(どの抗菌薬がその細菌により効果が高いか効くかを調べること)もできますので、効果的な細菌除去が期待できます。

細菌が検出されなければ、根管内は無菌化されたと判断します。
検査の検出限界はありますが、この細菌検査をすることで、より確実に根管内の細菌が減少していることを確かめ、治療を終了することになります。

細菌検査で検出されなくなるまで、治療を行いますので、治療回数が多くなる場合や最も費用がかかりますが、現在最も成功率が高い根管治療方法だと言えます。

根管内嫌気培養の流れ

神経を取った歯の根の中(根管内)が無菌になったことを。根管内培養検査で目で見て確認します。

詳しく見る

根管治療中の様子も見える化を実現

根管治療は、治療を受けている患者さんにとって、何が行われているかが非常に分かりくい治療の一つだと思います。

当院では、できるだけ分かりやすく根管治療について状態や治療の経過をご説明するために、治療中の様子を記録し、チェアーサイドモニターで患者さんにも見て頂けるようにしています。

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当院の根管治療症例の経過をご覧下さい

根管治療の成功の判断は、患者さんの痛みや歯茎の腫れなどの臨床症状が無くなることと、レントゲン写真で異常が認められなくなることで判断します。 原因である根管内の細菌をできるだけ減らすことができれば、そのような改善に向かいます。

臨床症状(痛みや腫れなど)の消失
  • 治療前
  • 治療後
治療前症状
  • 痛みがある
  • 歯茎が腫れている
  • 歯茎から膿がでる
治療後症状
  • 痛くない
  • 歯茎の腫れていない
  • 歯茎から膿がでない

臨床症状(痛みや腫れ)の消失があり、その後レントゲン写真に治癒の傾向が現れていきますので、以下に根管治療後のレントゲン写真の経過を記載しています。

レントゲン写真上で黒い影の消失(骨の再生)
  • 治療前
  • 治療後
治療前レントゲン検査
  • 根の先に黒い影がある(骨が溶けている)
治療後レントゲン検査
  • 根の先に黒い影がない(骨が再生されている)

臨床症状は無く、患者さんにとっても不自由なく歯を使えている場合でも、レントゲン写真では完全に治癒傾向を示さない場合もあります。
その場合には、完全に成功とは言えないかもしれません。

日常生活に問題ないためその状態で経過を診ながら歯を使っていく場合もあります。

当院では、患者さんがご希望される限り、できるだけ歯を残していきますが、病巣感染のことを考えると抜歯した方が良いと思われる場合もあります。

抜歯処置も含め次の処置を行うかどうかは患者さんと十分お話し合いの下、決断していきます。

治療症例
CASE 1右下第一大臼歯
  • 治療前
  • 治療後
CASE 2左下第二大臼歯
  • 治療前
  • 治療後
CASE 3左下第一大臼歯
  • 治療前
  • 治療後
CASE 4左下第一小臼歯、左下第二小臼歯
  • 治療前
  • 治療後
CASE 5左下第一大臼歯
  • 治療前
  • 治療後
CASE 6右上犬歯
  • 治療前
  • 治療後
CASE 7右下第一大臼歯
  • 治療前
  • 治療後
CASE 8左下第二小臼歯
  • 治療前
  • 治療後

症例をもっと見る

根管治療について知識を深めましょう!

なぜ根管治療が必要になるのでしょうか?
虫歯が進行して、歯の根管内(根の中)に細菌感染が広がると…
  • C2
  • C3
  • C3(感染根管)
  • 神経が細菌に感染しているかどうか疑わしい
  • 神経が細菌に感染している
  • 神経が細菌に感染して進行している

  • 歯がズキズキしていたい
  • 歯茎が腫れて痛い
  • 咬んだら痛い
  • 歯が浮いた感じがする
  • 歯茎から膿みがでる

などの自覚症状が出てくることがあります。
また、痛みや腫れが出ない場合には、患者さんご自身には分かりにくいことがありますが、

  • 根の先の顎の骨が溶ける(レントゲンで根の先に黒い影が映る)

などの状態も、歯の根管(根の中)に細菌感染が広がることで出てきます。

  • レントゲン写真
  • 肉眼でも膿袋を確認

歯の根にたまった膿が、右の写真のように歯ぐきに飛び出てきます。
放っておくとさらに細菌感染は進行し、範囲が広がっていきますので、根管治療を行うことでその進行を止め、治癒に向かうことを期待します。

歯の根の先に感染すると、自覚症状がなくても全身に影響が出てきます。

歯の神経が死んで根の先に感染した場合は自覚症状が無いものも多く、患者さんがきづかないうちに全身のいろいろなところに悪影響を及ぼします。

最近の研究では、感染している歯など、口の中の病巣が、身体のさまざまな病気の原因となることが少しずつ明らかになってきました。

このことを病巣感染と言いますが、病巣感染をできるだけ防ぐ意味でも、適切な根管治療を行うことが重要です。

病巣感染の仕組み

詳しくはこちら

根管治療はどのような治療を行うのでしょうか?
一般的な治療手順
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    虫歯で歯髄(歯の神経)にまで炎症が起こっています

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    麻酔をし、神経をとるために歯に穴を開けます。

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    ファイルという細い針で根管内の神経を取ります。

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    根管内を綺麗に消毒した後、根管内にガッタパーチャというゴムを充填します。歯に冠を被せて完了。

根管治療をした歯はもう痛くなることはありませんか?
根管治療は成功率が低くやり直し治療や抜歯となるケースも少なくないのが現状です。

貼薬(消毒)をして、多分これで無菌になったであろう、という、歯科医師の勘と推測で根管充填(ゴムの防腐剤を詰めること)します。もし、無菌になっていなかった場合、再発を繰り返してしまいます。

また、貼薬を2~3種類しか置いていない歯科医院が多いので、一つの薬で消毒できなかった場合は残りの薬で消毒し、それでもダメだった場合、治りきらずに再発を繰り返すことになります。

保険の治療では、根管の中を無菌にしたつもりでも確認をしていないため、残っていた細菌が再び活動を始め根っこの先に膿を作ることがあります。(根尖病巣)

根の先に膿がたまる「根尖病巣」

確実に無菌状態にして密閉するというのはかなり難しいのです
根管治療は成功率が低く、やり直し治療や抜歯となるケースも多いのが現状です。
保険診療における根管治療の成功率について
詳しくはこちら
根管治療がうまくいくにはどうすれば良いのでしょうか?
歯の根の治療の成功のカギとは?歯の根の治療については、根管内(根の中)の細菌数をどれだけ減らす事ができるかと再感染をどれだけ防げるかが治療の成功を決めます。

そのためには、細菌検査や各種細菌除去方法を駆使し、時間をかけて丁寧に治療すること、その後再感染を防ぐためのメインテナンスを徹底することが重要となります。

根管治療は難しく根気が必要

精密な根管治療にはそれなりの時間と回数がかかります。

根管治療(歯の神経・根の治療)は実は難しく、患者さんにとっても術者にとっても根気のいる治療です。
できるだけ精密な根管治療を行うためには、ある程度の時間と回数が必要です。

根管治療の難しさの理由として、根管は細く複雑な形態をしていること、さらに多種多様な細菌の混合感染であること多いことが挙げられます。

肉眼で見える範囲は限られますし、実体顕微鏡で見ても根管の入り口付近は見えますが根管内すべてを見ることはできませんので、複雑な根管形態をできるだけイメージしながら治療していきます。

また直接細菌を見て確認することができませんので、無菌になったかどうかは根管の部分的な細菌検査で判断するしかありません。
従って、現在の根管内無菌化とは、正確には、細菌検査により検出できないレベルということになります。

根管内を完全に無菌化するのは、どんな名医がどんなに時間をかけて治療しても難しいことがありますが、当院では、根管内の細菌をできるだけ少なくするために様々な方法を取り入れ無菌化に挑戦し続けています。

根管治療により病巣感染は治りますか?
病巣感染については、どんな精密な根管治療を行っても、治らないことがあります。

病巣感染のことだけを考えた場合には、抜歯を選択した方が良いこともあります。
病巣感染の疑いのある根管治療歯については、
再根管治療して歯をできるだけ残すか?
身体への悪影響を考え、抜歯をするか?

非常に悩む決断です。

どちらを選んでも間違いではないと考えています。
当院では、患者さんと十分にお話合いをした上で決めていきます。

病巣感染

について詳しく見る

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