歯の寿命を左右する
当院の根管治療
当院では、保険診療内~自費診療まで、それぞれのレベルで最善を尽くして根管治療を行います。
多くの歯科医院で行われる一般的な方法です。
ただ日本の根管治療の治療費は欧米諸国はもちろん近隣のアジア諸国と比べても、圧倒的に安いために理想的な器具の使用や、時間をかけた治療が不可能と言われています。
時間をかけてしっかり治療しようとすればするほど赤字に陥ってしまうという矛盾したシステムになっているため、日本の根管治療の成功率は低いと言われています。
そのような現実があり、時間的にも使用機材にも制限はありますが、当院ではできる限り時間をかけ丁寧な根管治療を行っています。
自費診療よりも成功率は下がりますが、成功すれば治療費も安く済むというメリットがあります。
保険診療よりも、使用可能器材の幅が広く、時間的制約も少ないため、より精度の高い治療が可能となります。
保険診療で使用できる一般的な消毒剤に加え、オゾンガス、ナノバブルオゾン水、次亜塩素酸水などの殺菌水、レーザー、抗菌薬使用などにより、効率的に根管内の細菌を減少させることができます。
また、当院ではできるだけ身体に有害な薬剤や消毒剤は使用しないように心がけています。
保険診療よりも費用がかかるというデメリットはありますが、成功率は高く、通院回数も少なく済む事が多いというメリットがあります。
根管治療の目的は、根管内の細菌をできるだけ減らす事ですので、根管内の細菌を採取し、細菌がいるのか、あるいはどのような細菌なのかを調べることが効果的です。
根管内と同じ嫌気状態(酸素の無い状態)で採取した細菌を培養し細菌の有無を調べます。
また、細菌培養することで、抗菌薬感受性試験(どの抗菌薬がその細菌により効果が高いか効くかを調べること)もできますので、効果的な細菌除去が期待できます。
細菌が検出されなければ、根管内は無菌化されたと判断します。
検査の検出限界はありますが、この細菌検査をすることで、より確実に根管内の細菌が減少していることを確かめ、治療を終了することになります。
細菌検査で検出されなくなるまで、治療を行いますので、治療回数が多くなる場合や最も費用がかかりますが、現在最も成功率が高い根管治療方法だと言えます。
神経を取った歯の根の中(根管内)が無菌になったことを。根管内培養検査で目で見て確認します。
根管治療は、治療を受けている患者さんにとって、何が行われているかが非常に分かりくい治療の一つだと思います。
当院では、できるだけ分かりやすく根管治療について状態や治療の経過をご説明するために、治療中の様子を記録し、チェアーサイドモニターで患者さんにも見て頂けるようにしています。
根管治療の成功の判断は、患者さんの痛みや歯茎の腫れなどの臨床症状が無くなることと、レントゲン写真で異常が認められなくなることで判断します。 原因である根管内の細菌をできるだけ減らすことができれば、そのような改善に向かいます。
臨床症状(痛みや腫れ)の消失があり、その後レントゲン写真に治癒の傾向が現れていきますので、以下に根管治療後のレントゲン写真の経過を記載しています。
臨床症状は無く、患者さんにとっても不自由なく歯を使えている場合でも、レントゲン写真では完全に治癒傾向を示さない場合もあります。
その場合には、完全に成功とは言えないかもしれません。
日常生活に問題ないためその状態で経過を診ながら歯を使っていく場合もあります。
当院では、患者さんがご希望される限り、できるだけ歯を残していきますが、病巣感染のことを考えると抜歯した方が良いと思われる場合もあります。
抜歯処置も含め次の処置を行うかどうかは患者さんと十分お話し合いの下、決断していきます。
などの自覚症状が出てくることがあります。
また、痛みや腫れが出ない場合には、患者さんご自身には分かりにくいことがありますが、
などの状態も、歯の根管(根の中)に細菌感染が広がることで出てきます。
歯の根にたまった膿が、右の写真のように歯ぐきに飛び出てきます。
放っておくとさらに細菌感染は進行し、範囲が広がっていきますので、根管治療を行うことでその進行を止め、治癒に向かうことを期待します。
歯の神経が死んで根の先に感染した場合は自覚症状が無いものも多く、患者さんがきづかないうちに全身のいろいろなところに悪影響を及ぼします。
最近の研究では、感染している歯など、口の中の病巣が、身体のさまざまな病気の原因となることが少しずつ明らかになってきました。
このことを病巣感染と言いますが、病巣感染をできるだけ防ぐ意味でも、適切な根管治療を行うことが重要です。
虫歯で歯髄(歯の神経)にまで炎症が起こっています
麻酔をし、神経をとるために歯に穴を開けます。
ファイルという細い針で根管内の神経を取ります。
根管内を綺麗に消毒した後、根管内にガッタパーチャというゴムを充填します。歯に冠を被せて完了。
貼薬(消毒)をして、多分これで無菌になったであろう、という、歯科医師の勘と推測で根管充填(ゴムの防腐剤を詰めること)します。もし、無菌になっていなかった場合、再発を繰り返してしまいます。
また、貼薬を2~3種類しか置いていない歯科医院が多いので、一つの薬で消毒できなかった場合は残りの薬で消毒し、それでもダメだった場合、治りきらずに再発を繰り返すことになります。
保険の治療では、根管の中を無菌にしたつもりでも確認をしていないため、残っていた細菌が再び活動を始め根っこの先に膿を作ることがあります。(根尖病巣)
そのためには、細菌検査や各種細菌除去方法を駆使し、時間をかけて丁寧に治療すること、その後再感染を防ぐためのメインテナンスを徹底することが重要となります。
精密な根管治療にはそれなりの時間と回数がかかります。
根管治療(歯の神経・根の治療)は実は難しく、患者さんにとっても術者にとっても根気のいる治療です。
できるだけ精密な根管治療を行うためには、ある程度の時間と回数が必要です。
根管治療の難しさの理由として、根管は細く複雑な形態をしていること、さらに多種多様な細菌の混合感染であること多いことが挙げられます。
肉眼で見える範囲は限られますし、実体顕微鏡で見ても根管の入り口付近は見えますが根管内すべてを見ることはできませんので、複雑な根管形態をできるだけイメージしながら治療していきます。
また直接細菌を見て確認することができませんので、無菌になったかどうかは根管の部分的な細菌検査で判断するしかありません。
従って、現在の根管内無菌化とは、正確には、細菌検査により検出できないレベルということになります。
根管内を完全に無菌化するのは、どんな名医がどんなに時間をかけて治療しても難しいことがありますが、当院では、根管内の細菌をできるだけ少なくするために様々な方法を取り入れ無菌化に挑戦し続けています。
病巣感染のことだけを考えた場合には、抜歯を選択した方が良いこともあります。
病巣感染の疑いのある根管治療歯については、
再根管治療して歯をできるだけ残すか?
身体への悪影響を考え、抜歯をするか?
非常に悩む決断です。
どちらを選んでも間違いではないと考えています。
当院では、患者さんと十分にお話合いをした上で決めていきます。
について詳しく見る