2015.02.03

詰め物の下の虫歯(二次う蝕)を治療する

 『定期検診で受診している
患者さんですが、詰め物の下で
虫歯になっているようなので、
確認して下さい。』

 歯科衛生士からこのような報告を
受けることがありますが、
このような報告を受けることが
極力少なくなるように
しなければいけないと思います。

 先日、一般的な修復物が
どのくらい長持ちするのか、
一つの臨床疫学的データを
ご紹介致しました。

 定期検診・定期予防処置を
受診されている患者さんでも、
残念ながら二次う蝕
(詰め物の下で虫歯になっている状態)
となり、再修復治療が必要となる
ケースがあります。

 次に示すのは、
先日、定期検診受診時に見つかった、
メタルインレーの二次う蝕
(金属の詰め物の下で虫歯になっている状態)です。

荻田_貴之_9荻田_貴之_10

上から見ただけでは、
メタルインレーの下で
虫歯になっているかどうか
わかりません。
しかし、横から良く見てみると、
金属の中が黒っぽいのと
透過性が違うのがわかります。
この時点で患者さんには、
自覚症状はありませんでしたが、
定期検診受診時に、
担当している歯科衛生士が発見し、
報告を受けました。

 後日、改めて治療予約を取って頂き、
再修復治療を行うこととなりました。

  後日、メタルインレーを外した所、
やはり、詰め物の下で虫歯に
なっていることが肉眼で確認できました。

私は、患者さんご自身にも、
治療しなければいけない
歯の状況を知って頂くために、
チェアーサイドモニターで
このような画像を撮り
ご説明するようにしています。

荻田_貴之_8

裏層材(歯髄保護材)を除去すると、
その下でさらに虫歯(感染歯質)が
広がっていることが確認できました。

荻田_貴之_7 以前も書きましたが、
う蝕検知液を用いて、
歯に優しい形で慎重に
感染歯質を除去します。

荻田_貴之_6荻田_貴之_2

虫歯(感染歯質)を
すべて取りきった後に
裏層(歯髄保護)を行い、
患者さんと相談の下、
再度メタルインレーで修復しました。

 荻田_貴之_3荻田_貴之_1
以前より詰め物の範囲が
少し広がっています。

再度虫歯になると、詰め物の範囲が
広がってしまうことがほとんどです。

この方は、定期検診・予防処置を
受けている患者さんでしたので、
歯科衛生士が早期に虫歯を
発見してくれました。

早期に診断することで、
このように再度修復治療を
することができました。

歯髄(神経)まで虫歯が
進行してしまうと、
根管治療(神経の治療)が
必要になるため、
早い段階で修復治療を
行えたことは良かったです。

修復治療後には、
定期検診・予防処置を継続し、
私達と患者さんとが
協力し合うことで、
できるだけ長持ちするように
努力していかなければなりません。

この歯の治療は今後することがない
というのが理想なのですが・・・

このメタルインレーはどのくらい
長持ちさせることができるでしょうか?

平均生存期間:3,804日(10年ちょっと)

10年生存率:67.5%(7割弱)

 

参考文献)

青山貴則,相田 潤,竹原順次,森田 学:臼歯部修復物の生存期間に関連する要因,口腔衛生学会雑誌.2008;58:16-24

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