2015.01.28

虫歯は削らなければいけない?

『歯医者に行ったら
虫歯だと言われて削られた・・・』

こんなふうにおっしゃる患者さんは
少なくありません。
誰でも歯を削られるような治療は、
嫌だと思います。

特に痛みなどの
自覚症状がない場合には、
削られたくない気持ちも
強いのではないかと思います。

そのような場合、
歯科医師が一方的に
虫歯を指摘し、
何も言わずに
削る治療を
開始したとしたら、
患者さんは、疑問に思って
しまうかもしれません。

だとすると、
『歯医者に行ったら
虫歯だと言われて削られた・・・』
の・・・には次のような思いが
含まれているように感じます。

(本当に削る必要があったのか・・・)

(痛みもないし何も
困っていなかったのに・・・)

 そんなふうに思ったことは
ないでしょうか?

虫歯治療は、歯科医院で
日常的に行っている処置です。

実際の所、自分自身も
虫歯治療で出来るだけ
削られたくありませんし、
削ることが好きなわけでも
ありません。

私達がどのような
虫歯治療をするのかは、
虫歯の深さと進行速度
によって変わってきます。

現在は、
できるだけ虫歯は削らずに
管理(マネジメント)しよう
という時代になってきています。

当院でも、できるだけ
削らないようにするために、
虫歯を見つけても定期的な検診、
予防処置を行い、
経過を良く診てから、
削るべきかどうかを
判断しています。 

虫歯を診断するときに、一般的に
臨床診査(視診)
レントゲン(X線)写真 
組み合わせて行うことが多いです。

まず、削るような虫歯治療を
するかどうかの判断で重要なのは、
ウ窩(穴になっている状態)の存在 です。

歯面が破壊され
ウ窩が形成されていると、
進行速度は上がります。
表層にウ窩が無い状態ならば、
進行を止めて経過を
診ることができますので、
この評価は重要となります。

ウ窩の有無だけで
判断するわけではありませんが、
例えば、次の写真のような
大きなウ窩のある歯の場合には
削る治療が必要
と判断します。

古野_亮_7

レントゲン(X線)写真では、
虫歯になった所が、
黒い影となって見えます。
これは、歯の無機質の量が
減少することで
X線透過度が上がるからです。

古野_亮_1

臨床において、削るような虫歯治療を
すべきかどうかを決定するためには、
前回撮影したレントゲン(X線)写真
と比較して、
深さや位置の変化などを
確認することが必要になります。

ただし、
歯の無機質の減少量の
30%を越さないと、
レントゲン(X線)写真で
黒い影として確認できない
と言われていますので、
当院では、
他の検査方法も組み合わせることで、
早期の診断を心掛けています。
(虫歯早期診断のための検査方法に
ついてはまた別の機会に記載したいと思います。)

当院では、
進行が認められるような
すべての虫歯において、
処置の対象としていますが、
すべてに削って修復する治療が
必要なわけではありません。

削るかどうかの判断は
非常に難しいのですが、
当院では今のところ、
明らかにウ窩を認める
なおかつ、
レントゲン(X線)写真上
陰影を認める虫歯
の場合には、
削る治療を選択しています。

この場合、
虫歯になっている部分(感染歯質)
を除去して修復する
という処置を行います。

参考文献)

ペンクト・オロフ/ダン・エリクソン 著 西真紀子 訳.スウェーデンのすべての歯科医師・歯科衛生士が学ぶトータルカリオロジー.

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