2015.02.05

虫歯は削っても痛くない?

『歯を削ったら
すごい痛いですよね?』

『痛いのが怖いんです・・・。』

虫歯治療をする際に、
患者さんは痛みに関する不安を
抱えていることが多いと思います。

誰しも痛い思いをするのは
できるだけ避けたいのでは
ないかと思います。

実際、痛くないとか、
無痛治療とか
そのような歯科医院側の
PRによって、
その期待の下、
患者さんは歯科医院を
選んでいることも
多いかもしれません。

私達は、患者さんにとって
できるだけ最善で、
なおかつできるだけ
苦痛の少ない治療を心掛けます。

ただそのとき、
選択を迫られることの一つが、
虫歯を削る際に、
麻酔をするかしないか
ということです。

麻酔をした方が
痛くないのだから
当然麻酔はした方が良いと
思われるかもしれません。

しかし実は、
虫歯になっている部分
(感染歯質)は、
麻酔をせずに削ったとしても
痛くありません。

もちろん、すでに
自覚症状がある場合や、
少しでも触ったら痛みを
感じてしまうような場合は
別ですが、そうでなければ、

麻酔をしなくても、
痛みを伴うことなく、
虫歯になっている部分
(感染歯質)を削って除去する
ことが可能です。

 できるだけ歯を削る量を
最小限にするための基本は、
感染歯質を除去するときに、
細菌感染のある罹患歯質のみを削除し、
再石灰化可能な軟化部や
健全象牙質部の削除を
一切行わないことです。

 そのためには、
感染歯質を選択的に
染め出すう蝕検知液を用いて、
染色部を徹底的に
除去したら良いのです。
(う蝕検知液による
感染歯質の除去についてはこちら

虫歯の無痛治療について
知るためには、
歯の解剖生理学の
知識が必要になります。

歯の基本構造は、
表層からエナメル質、
象牙質、歯髄(神経)の三層構造
になっています。

健全象牙質は細かくみると、
象牙細管という
細い管状になっています。
象牙細管には、象牙芽細胞突起
及び細胞内液が含まれており、
その象牙細管は歯髄から
エナメル象牙堺へ
走向していると言われています。

従いまして、
歯を削ることによって、
健全象牙質が露出すると、
象牙牙細胞突起は損傷を受け、
象牙細管を介して
歯髄と口腔が直接
交通する状態となります。

これは生体(歯髄)を
直接刺激することになり、
耐え難い痛みを伴うことが
多いために麻酔を必要とします。

 しかし一般的に、
緩慢な時間経過で
進行した虫歯の場合、
口腔内に露出した象牙質は、
病巣下象牙質あるいは
病巣相当部歯髄側に
自然保護層が形成されます。

すなわち、

象牙細管内はアパタイト結晶により
閉塞あるいは著しく狭窄されて
透明層が形成されますし、
歯髄側には実質欠損部に
応じた修復象牙質が添加され、
口腔との一定の距離が
保たれるような反応が起こるのです。

これらは、
自然な生体防御反応で
起こった結果であるため、
このような透明層や
修復象牙質を残せば
術後の痛み等の不快症状を
防ぐことができます。

『今まで痛くなかったのに、
治療後にすごくしみるようになった・・・』

そんな経験はありませんか?

このような術後不快症状が出る場合、
透明層や修復象牙質の削除が
行われたことで、
健全象牙質の
露出が増えてしまうことが原因として
最も多いと考えられます。

麻酔をして感染歯質を除去した場合、
削除量が増えてしまうことが多いので、
麻酔が切れた後に、このような
不快症状が出現します。

(そのような術後不快症状が
出た場合でも、感染歯質の除去が
きちんと行われ、歯髄が
健全な状態であれば、
透明層や修復象牙質の添加が
再度起こり、症状は緩和
してくることがほとんどです。)

 

従って、

理想的な虫歯の無痛治療とは、
麻酔をせずに、痛みの無い
感染歯質のみを選択的に除去し、
生体防御反応としてできた
透明層や修復象牙質は
残した状態にすることで、
術後の不快症状も
防ぐことだと考えています。

さらに、歯を削る量も
最小限に抑えることができます

 ただこれは、あくまで、
中等度の虫歯で、
自覚症状や明らかな誘発症状が
ない場合に可能となる治療です。

また、少しでも痛みを
感じたくない、

あるいは怖いという方も
いらっしゃいますので、

当院では、
麻酔をするかどうかにつきましては、
虫歯の状況を十分にご説明し、
患者さんとご相談させて頂いております。

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