2019.11.23

神経の治療(根管治療)をするかどうかを悩むとき

できるだけ生きている歯の神経は
残した方が良い。

これは間違いのないことだと思います。

だから私たちは、
極力生きている歯の神経を
取り除くことはしません。

ただ歯の神経に細菌感染がひろがり、
腐ってきてしまった場合には、
細菌感染がひろがって
どんどん悪くなる可能性がありますので
それをきれいに取り除くための
根管治療を行うことになります。

その判断はときに
悩むこともありますが、
根管治療を行うかどうかは
慎重に判断しています。

どんなときに悩むかと言うと、

①虫歯が深くて痛みが強いとき
(何もしなくてもズキズキする、
咬んだら痛いなど)

②虫歯治療でつめ物がしてある
歯の周囲に病変がある。
(レントゲン写真で歯の周りが
黒く抜けている)

このようなときはちょっと
悩みますね。

具体例を示します。

上記①のようなときとは、
たとえば次のようなケース。
右上の歯が痛くて眠れない、
痛くて咬めないと
来られた患者さん。
口の中をみてみるとこれ。


右上にいくつか深い虫歯があります。
見た目では右上第一小臼歯と
右上第二小臼歯の間がとくに
虫歯が進行していそうにみえます。

レントゲン写真がこれです。

たしかに右上第一小臼歯と
右上第二小臼歯の間に
大きな虫歯が認められます。
ただその奥の第一大臼歯にも大きな
虫歯がありました。
レントゲン写真にうつっている
3本とも大きな虫歯で
神経にかなり近いところまで
進行しています。

痛みの原因はどれで、
神経は残せるのか?

患者さんは神経を
取っても良いから
はやくこの痛みを
何とかしてほしいと
訴えています。

どうしましょうか?

また、次のような別ケース。

左上の奥歯が何もしなくても
ズキズキして痛いと訴え
来られた患者さん。
口の中をみてみると、
次のような状態です。


左上第一大臼歯に深そうな虫歯が
認められます。

レントゲン写真がこれです。

やはりその歯には
神経にかなり近い(ほぼ接している)
深い虫歯が認められます。

この患者さんは
当時16歳の高校生。
お母さんが、説得して
何とか歯科医院に連れてきた感じでした。

どうしましょうか?

 

次は上記②のようなときとは、
たとえば次のようなケース。

左下第二大臼歯(写真一番右の歯)
レジン充填(プラスチックのつめもの)
はしてありますが、
そんなに深くありません。
根尖周囲が黒く抜けてみえます。
歯はぐらついていました。

他院歯科では神経を取るか、
歯を抜くかというお話があったようです。
患者さんは、
できるだけ歯を抜きたくない
ということで当院に来院されました。

どうしましょうか?

また別に、次のようなケース。

右下第一大臼歯の写真です。
分岐部(歯の根と根の間の部分)の
歯肉が腫れて膿が出ているのと
ここの歯周ポケットだけが
深い状態です。

レントゲン写真はこれです。

分岐部や根尖周囲まで
黒く抜けているように見えます。
ただ金属のつめ物が入っていますが、

神経までは距離があるようにみえます。

患者さんはいつもここが
調子悪いんだと言っています。
別なある歯科医には
治りにくい歯周病の分岐部病変か
歯が割れている可能性もあるから
歯を抜いた方が良いかもしれないと
言われたとのこと。

どうしましょうか?

各それぞれのケースについて、
実際に行ったことと、
その後の経過については、
次回に掲載したいと思います。

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